モデム 2019 3 10
「5G時代は、モデムが重要になる」
コンピューターの頭脳と言えば、「CPU」でしょう。
スマートフォンでは、「SoC」と言います。
(「SoC 2018 11 24」を参照)
パソコン業界では、かつて、
「Windows」の「世代交代」があるたびに、
対応できる「CPU」にグレードアップしなければならないということで、
定期的にパソコンの買い替えが起こっていました。
はたして、スマートフォンでは、
「5G」(第5世代)において、「SoC」のグレードアップが必要か。
現在でも、「SoC」は、かなり高性能なものとなっています。
むしろ、5G時代においては、
「モデム」が重要になると考えています。
もちろん、「モデム」という言葉は、
スマートフォンにおいては、適合しない言葉かもしれませんが、
慣例的に使うことにしましょう。
モデムとは、通信機器における「変調」と「復調」をする機器です。
これでは、何のことかわかりにくいので、昔話から始めましょう。
昔は、家庭のインターネットは、光ファイバーではなく、ADSLでした。
ADSLは、音声回線を利用したシステムですので、
受信する時は、音声データを電子データに変換する必要があります。
送信する時は、電子データを音声データに変換する必要があります。
(CPUは、電子データしか理解できません)
スマートフォンになると、どうなるか。
文字データにしても、画像データにしても、電波でやってきます。
電波でやってきたものをアンテナで受信して、
「SoC」で使えるような電子データに変換する必要があります。
「5G」では、超高速・大容量になりますので、
5Gモデムは、かなり高性能なものが必要となります。
こうした高性能モデムを製作できるのは、
アメリカのクアルコムと中国のファーウェイのみです。
(インテルも開発中と聞いたことがあります)
つまり、5Gスマートフォンを作るには、
クアルコムかファーウェイからモデムを調達する必要があります。
「モデムが5Gを制する」と言っても過言ではないでしょう。
そういうわけで、クアルコム対ファーウェイの戦い、
つまり、アメリカ対中国の戦いとなるのです。
とりわけ、クアルコムにとって、モデムは「十八番」(中核技術)と言えるでしょう。
SoC 2018 11 24
今までの時代は、コンピューターの頭脳には、
「CPU」(中央演算装置)という言葉が使われていましたが、
これからの時代は、「SoC」という言葉がキーワードになります。
「SoC」とは、「System-on-a-chip」の略語です。
「スマートフォンのCPU」という言い方のほうがわかりやすいのですが、
この言い方では不正確となります。
なぜかというと、パソコンの内部構造を考えればよいのです。
パソコンは、外側の収納ケースの中には、マザーボードがあります。
このマザーボードには、CPUやGPU(グラフィック・チップ)、メモリ、
通信用のチップが装着されているのです。
そのほか、いろいろな制御用のチップが搭載されています。
ところが、スマートフォンは、パソコンに比べて小さいうえに、
スマートフォンの半分以上が電池で占められているのです。
そうなると、限られた場所に、
マザーボード、CPU、GPU、メモリ、通信用のチップを、
搭載することは不可能です。
そこで、外見上は、CPUに見えるチップに、
制御用チップ、CPU、GPU、メモリ、通信用のチップを詰め込んだものが、
「SoC」(System-on-a-chip)となります。
つまり、パソコンの頭脳は「CPU」、
スマートフォンの頭脳は「SoC」と覚えればよいとなりますが、
これからの時代は、「SoC」が中心になってきます。